Rockin' on (2)

Life Aquatic Studio Sessions1988年というと、ようやく、CDプレーヤーが一般的になってきた時期。まだ、レコードとレコードプレーヤーが普通にあった。私は、学生の頃、ずっとテレビを持っていなかったので、毎日することといえば、散歩か音を聴くか、本を読むくらい。
レコード屋で、昔のアルバムを借りては、カセットテープにダビングして聴いていた。加藤君は、Walkman Proという黒くて小さくて凄い機材を持っていた。これがまた、いい音で録れるのだ。
渋谷陽一さんとの対談はそんな頃。私は、音楽が映像とともに売り出されていることにとても不思議な感じを持っていた。音というものは、聴いているとそこから得られる個々のイマジネーションがあり、それが快楽なのだと思っていた。ところが、MTVなど音に付随する映像が初めからつくられていると、その自由は奪われてしまう。
と、そんなことをいったら、渋谷さんは、「伊東君は40のおっさんみたいなことをいうねえ」と笑いながらいわれた。その頃、渋谷さんは40くらいだったのかな。
今は私が、40のおっさんになっている。音楽はみんなiPodとかあんなに小さいプレーヤーで聴いている。当時は想像もつかなかったことだ。でも、どうなんだろう。やっぱり、音楽に映像はくっついているのかな。テレビを見ないのでわからないけど、CDショップにいっても、音と映像はいい感じで切り離されている気がするな。
先日、maruokaさんに、教えていただいたSeu Jorgeのアルバムを聴いている。なんと、David Bowieの曲を、全てポルトガル語とガットギターで。これは凄い。不思議な感覚。奇妙だ。全く関係ない世界を歌いながら、俺は俺なのさ、みたいな感じがとても好きだ。これは、映画の音楽らしい。「ライフ・アクアティック(The Life Aquatic with Steve Zissou)」。こんど見てみよう。少し謎が解けるかもしれない。maruokaさんありがとう。David Bowieの原曲も久しぶりに聴きたくなってしまった。とほほ。