Fes, Morocco

tapio2006-02-16

1988年夏。日本を出て5ヶ月目の頃、モロッコの中ほどにある、古都フェズへ。旧市街にはいると、まるで迷路。丘に登ると、茶色の街並みの中にモスクや緑色の屋根の記憶。
丘の中腹で、きれいなサボテンの実を見つけた。腹が減っていたので食べようとして手を伸ばしたら、掌が何百本もの細かい毛のような針にさされ大変なことに。ものすごく痛い。これでは、どっちがサボテンだかわからん。欲深いのはいかんなと思った。
そうそう、ここに来る1週間前には、さらに南のワルサザートという町にいて、サハラ砂漠の北端から帰る途中だった。
数十人しか住んでいない集落に連れて行ってほしいというと、ジープに乗れという。よかった。ありがたい。それで、にこっと笑って、前に乗ろうとしたら、おまえは屋根の上に乗れと笑いながらいわれた。羊を買って帰るベドウィンジープの屋根に縛りつけられた黒と白の羊とともに座って6時間くらいか、砂漠の中をひらすら走る。ターバンのような布を巻いていたが、顔は乾燥のため唇が縦にひび割れ、血が滲む。その年は特に暑く気温52度だった。その夜、宿代100円払って、砂漠の中の石の家の屋根で、寝袋に入って寝た。夕日はこの世のものとは思えぬ美しさだった。夜は10度くらいまで気温は下がり寒かった。
その後、近くの町に戻って暫くして、腹が痛くなった。3日間ほど宿に缶詰になった。脱水症状になっていたのだ。そのときは、救急車に来てもらって、今すぐ家に帰りたいと思った。しかし、そんなものは当然なく、まして金もなかった。たまたま、スウェーデン少林寺拳法を教えていた森川さんに出会い、薬をもらい助けてもらった。ほとんど日本人に出会うことがなかったあの頃のあの土地で。本当にラッキーだった。森川さん元気かな。
このころは、乾燥したところばかりふらついていた。今は寒いところや天気の悪いところばかりに縁がある。いつか湿った風の吹く暖かい南の島にいってみたい。やっぱり欲深い。