港、坂と猫の街

tapio2008-01-02

帰省先、長崎。
夕暮れ時、蕎麦打ちとひきかえに、ひとり散歩に出る。スウェーデンの人が歌うなんとなく涼しいボサノバを聴きながら。久しぶりに100円の緑色路面電車
街の南のほうに「祈念坂」という坂がある。国宝の天主堂の裏、細い石畳の。土産物通りには、たくさんの人がいるのに、ここには人がいない。草の匂いのする細い道、3匹の猫に会う。
陽が西の厚い雲の中に隠れたので、もう風が冷たい。きつい坂のたどり着く先は不思議にリスボン、アルファマの展望台のよう。澄みきった空と光る雲。冬の透明な樹木の向こう側、西日のあたる斜面にしがみつく住宅地。地形や高さ、光のあたり方、樹木の感じが似てるんだろうな。
坂を登りきる手前には、風がよく通る眺めの良い場所があって、やはり、ここはとても好きだ。山の形や海の色は、何百年も変わっていないだろうから、ここに、遠い海の向こうの国から船がやってきたり、アコーディオンを首に巻いたような奇妙な服やちょんまげのような髪型の人たちがたくさん歩いていたのだと思うと、なんだか不思議な気分になる。数十年前には、原子爆弾がこの街の上空で炸裂し、一瞬のうちに多くの人が亡くなり、樹木は焼け、川は血に染まった。
そんな眺めだった。不思議な歴史や重い時間が重なり合ったこの街の景色。
子どもの頃、18年近くを過ごしたとはいえ、もはやここは、僕にとって非日常の風景なのだなあ、と思う。
■このところ連続の蕎麦打ち行脚。試行錯誤の末、少しづつうまく打って切れるようになりつつある。包丁を持って旅に出るのは、なんだか、いいなあと思いはじめるが調子に乗りすぎ。皆、美味しいといっていたので、ちょっと自信つけすぎかも。そば職人、池田朝二さんに感謝。
■2008年、今年もよろしくお願いいたします。いろんなつながり、お会いできる機会、楽しみにしています。
スウェーデンの人のボサノバ:Johan Christher Schütz、アルバム"Passion" 、この季節、不思議にいい感じです。