a distant shore

tapio2008-05-02

朝、起きたら、ノルウェーから、メイル。
2月の極寒の日曜の午後、Kari先生の故郷のデンマークの海辺のことや僕の育った近くの海のことを延々と2時間も楽しく話したことや新しいプロジェクト、今年の秋の向こうでの講義のこと。
たくさんの古いリンゴの樹に囲まれたKari先生の家で、寒い島でできた羊の自家製ハムや庭のリンゴジャムをいただきながら、あの晴れた午後に話したのは、海辺のオブジェや砂と波がつくる文様、チベットの砂曼荼羅、長い時間をかけてそこにやってきた貝殻や、やわらかいかたちの石のことだった。
ふと、コペンハーゲンの古本屋さんで見つけた本のことを思い出した。友だちから教えてもらった本。そいえば、飛行機のなかで読みかけのまま、本棚においてた。その本は、こんな書き出しで始まる。
"The beach is not the place to work; to read, write or think. I should have remembered that from other years." (quoted; Anne Morrow Lindbergh, 1955, Gift from the sea)
なんだか、朝から、きもちが、しおかぜみたいになったので、久しぶりに海にいってみた。誰もいなかった。
少し寒いくらいだったけれど、光も空気もとても透きとおっていて、ただ、何時間も、ねっころがって、僕はそこにいた。
波の音と交わるようないくつかの静かな音楽を聴いた。
海辺の風景は、信じられないくらい刻一刻と変化するんだって、初めて、気がついたよ。日本には、まだ、こんなに美しい海辺が残っているってことも。
■唯一、近所の幼稚園の先生と子どもたちと出会った。あいさつをした。僕のつくった簡単な流木のオブジェをめぐる子どもたちとのやりとりと具体的な所作が、あっという間に、数分間だけ、その場所を不思議な空間に変えたこと。
本を何冊か、持って行ったけれど、Anneさんのいうように、海辺は、やっぱり、そういう場所なんだろう、また、数ページしか進まなかったこと。
いくつかの不思議な布置と共感。